木材は非常に汎用性の高い素材だと言われています。加工が簡単で重量に比べ強固、さらには植物由来なので循環型のエネルギーとしての側面もあります。最近このエネルギーの面が非常に注目され、木質バイオマスという新たな資源として世間の話題をさらっています。
今日はこの木質バイオマスの話…ではなく、植物の基本的な構成要素であるセルロースについて少しおもしろい話があるのでピックアップしてみます。
セルロースとは植物の物理的な強度を生み出す物質です。人の体で例えると骨格のようなものですね。植物の細胞壁などはこのセルロースで作られています。セルロース自体はとても小さなものですが、これが積み重なって植物の細胞を支え、ひいては30m以上にもなる大木をも支えているのです。
さて、前途したセルロースナノ(10-9倍)ファイバー(繊維)はこのセルロースをほぐして、とても細かい繊維まで分解したものを指します。布をほぐして糸を取り出し、糸をほぐして細かい繊維に戻すようなイメージだと想像できるでしょうか。ナノ=10億分の1ということなので、その細かさはきっとそれ以上だと思います。(※実際には100万分の1ミリ程度で髪の毛の20万分の1程度の細さと言われています)
では、そのセルロースナノファイバー、「一体何に使えるの?」ってなりますよね?実はこの素材、鋼鉄繊維の1/5の重量(密度)で5倍の強度という驚くべき性能を誇ります。
その性能を活かして、自動車や航空機などに使われることが見込まれています。また樹脂と配合することによって、幅広い用途に使えることも期待されています。(プラスチックに成り代わる潜在性があると言われています)
現在はその取り出し技術の研究が進められていますが、安価に取り出す技術が見つかれば、原材料は植物ですから、森林大国である日本は資源大国ともなり得るのです。
草刈りした雑草でジュースが買える、そんな日が来るかもしれません。
非常にざっくりした説明ですので、興味のある方はセルロースナノファイバー、ナノセルロース、CNF などで検索してみてくださいね。
こちらにわかりやすい動画などがあります
京都大学生存圏研究所 生物機能材料分野