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b12 後編

前編は、木工作家になるまでをお届けしました。
後編は、作品がどのように作られるかなどをお届けします。

○作品はどのように作られますか?
粘土板
 設計図を書くのは注文の時だけですね。何かを作ろうと思って作っている訳ではなく、見た時に感じて作ります。これは小学校の粘土板です。捨てるはずだったものを貰って、窓枠で余った材などを組み合わせたら、奇跡的に長さが全部合って、震えました。こういう偶然があるから廃材を使うんです。作りたいモノに材料を合わせるんじゃなくて、材料に合わせて作っている時が、とても興奮しますね。
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 サイレントヒルというゲームをやっていて凄く気持ち悪くて、いつかこのおどろおどろしさを木工で表したいと思っていた。「サイレントヒルの世界感が『血と錆びと膿』なんですよ。先輩の工房でこの捨ててあるノコギリの刃を見付けた時に、これだ!と思って」
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 このサドルを拾って、その時は使わず、そのうち良い物が出来るでしょうと放置していた。「トム・クルーズの映画『宇宙戦争』を見ている時、宇宙人の3本足のタコみたいな乗り物が似ていて、サドルの事を思い出して作った。向きを変えると生き物にも見えるんですよ」
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廃材って産業のモノだったり、粗大ゴミだったりしますけども、誰かの生活を支えていたものなんですよね。それをちょっと形や視線を変える事で、新しく出来るなと…これも捨ててしまったらゴミなんですけど、この釘の錆びのにじみ方は人間がやろうと思っても出来ない。そういうのをそのまま味として、作品の魅力として見せられる方法を考えています。
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オタクの方向性が変わって、額縁の角を45度同士で繋げられる木材の切り方を究めている。鉄も気温によって伸縮するので、機材のセッティングが変わる。だから作品を作る際は、最初の何回かは端材など別の木材を切って調整している。いい加減な材料を使って、いかに綺麗に仕上げるか。「ただし、仕上げでカッチリし過ぎるとつまらなくなってしまうので、それをどこで止めるか、引きが大事です。今はそっちの方がゲームをやっているより楽しいですね」

○木材や機材はどこで手に入れていますか?
 県産材は、国頭村森林組合やキンモクなどです。他の材は基本、ドライブしている時に見付けたり、自分の所に廃材があると声を掛けてくれる人や、「あっちの学校に捨てかんてぃーしている廃材があるよー」と教えて貰えたり。機材は、先輩たちが新しい機材を手に入れた際、古い方を安く譲って下さったりします。
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○販売方法はどのようにしていますか?
 今は展示会、ウッディフェアなどです。注文があったモノを1年くらいかけて作るんです。僕の場合は材料が廃材なので、その注文に見合った材料を捕まえるまで長かったりするので。お客さんも急がせない人が多いです。大きいモノは大きいモノなりの値段と時間を頂いています。それが終わる頃に電話が掛かってきて、「ウッディフェアで作品を見て気になったので島袋さんに作って欲しい」と相談がある。相談があれば、どんなモノも作ります。業者さんや他の工芸の作家さんからも相談されます。主に額縁や箱関係が多いですね。なんとなくまわるんですよ。

○ホームページは、モノを売ろうという感じがしませんが
 買って買って~となると、僕のキャラ、作り方の姿勢が変わってしまうと思います。昔のHPはダラダラと書いていたけど、違うなーと思い、今のHPのように写真だけにしました。言葉に頼ってしまうと、展示会で僕が売り場に居ないと商品は売れないのか?となるじゃないですか。ユルさと丁寧さのバランスでモノを作っているところなので、お店でなにげなく手にとって可愛いってレジに持って行かれるのが、僕の本来の売れ方だと思う。これ(丸ノコの刃)をキャプションやらポップでダラダラ説明しても、見ないでしょ?買って買って~だと、綺麗に綺麗にしていかないといけなくなってしまう。
「あっ丸ノコの刃だ!」ギョッとする、それで良いんですよ、僕のは。
その代わり、僕がお店に立っていて何か訊かれたら、こういう風にばーっと喋りますよ。
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○木工作家で大変だった事はありますか?
 本土の方に現物を確認して頂けないまま、売る時ですね。やっぱり質感とかは目で見て触ってみないと分かり難いから、木の難しさってそこにあるかなぁ~って。電話で、写真と現物とは違いがある事を一応伝えていますけど。
 震災後の仙台の展示会の時は、この瓦礫をイメージさせるような廃材のベンチを持って行くかどうか、最後まで悩みました。その展示会で、元宮大工のお年寄りが綺麗なモノの横にある僕の作品を見て、頭にきたんでしょうね。一回通り過ぎたけどわざわざ戻ってきて、「船賃払って日曜大工持って来たんか?」と言われました。あれはキツかったです。一方で、美術を勉強している方が書いたFacebook記事から訪れた数グループに「自分たちも瓦礫からリサイクルしてモノを作る事で、復興の証にしたいんですよ」と言われ、来た甲斐があったと思いました。

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○これから木工業界、どうしていきたいと思いますか?
 木育もそうだし。使う人もステップアップして欲しいですね、モノを選ぶ時に自分の気持ちに正直に。あの大物作家さんが作ったからとかではなく、その時にそのモノを見てピンと来た自分の気持ちを大切にして、可能なら作った方と話して、選んで欲しいです。
ネームバリューでモノを選び、企業がHPで商品を紹介する時代はもう終わり。僕がゲームを売っている時にヒシヒシと感じていたのはそういう事ですよ、面白くないのに人気俳優がCMに出たら売れるんだね~ ┐(´-`)┌ って。
今は個人がSNSで意見を言う時代。誰かの意見に惑わされるのではなく、自分の確たる意思を持ってモノにも人にも付き合うべきだと思うんですよね。自分のスタイルは自分で決める時代なんですよ。木工はそういう風に選ばれて行きたいです。あなたの生活になるモノだから、あなたが選びなさいってね。自分の心に楽しいモノを選びましょう。

○木育はどのような事をされていますか?
 僕が工作教室をする時はだいたい、子供の集中力が保つ時間で出来る釘打ちだけです。ハンマーで叩くのはリズムがあって子供たちは楽しいんですよ。トントントンって。入口として、堅い材料に釘を打つととっても大変、堅い材料もしくは太い材料を切るのはとっても大変って、記憶に残してもらう。
 それと大人や学校の先生も木育した方が良いですね。今の20~30代で釘を打った経験が無い親も居て、薄い板にぶっとい釘を打つ人も。大人や教育現場から落とし込むべきで、教科書をなぞっただけの言葉でなくて、自分の経験として生徒に教えられる先生じゃないといけないと思います。
si-sa-

とても暖かく迎えてくれた島袋氏、色々な事を話して頂きあっという間に時間が過ぎて行きました。
心を動かされる島袋氏の作品を、11月5日(木)~8日(日)に開催する第20回沖縄ウッディフェアで手にとってみてはいかがでしょうか。

b12 島袋勝ツ也
所在地:沖縄県浦添市牧港2-49-13
HP:40-296.com
tumblr:40-296.tumblr.com


事業者名
品目
素材
径(cm) 幅(cm)
厚み(cm) 長さ(cm)
乾燥(含水率) 量(m3/枚/本)

b12 後編” への1件のコメント

  1. はじめまして。
    沖縄テレビ報道推進部の大城茂昭といいます。

    沖縄テレビで月曜から金曜、午後6時15分からの『みんなのニュースおきコア』の中で、隔週金曜日に放送している、仕事に情熱を注ぐ人々を紹介している企画「沖縄イズム」。
    その中で、廃材を生き返らせる木工職人の島袋勝也さんを紹介したいと思っております。
    よろしければ、ご連絡先をお聞かせ願えれば幸いです。

    ちなみに、私の携帯番号は
    090-2714-8735 です。

    メールからのご連絡、お待ちしています。

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