浦添市にある工房b12(ビージュウニ)島袋氏にインタビューしてきました。
最初に元気よく迎えてくれたポチくん、ディアちゃん。
左:ポチくん、右:ディアちゃん
○木工作家になるまで、どの様に過ごしましたか?
小さい頃は空き箱を集めて、色々なモノを作っていました。例えばマッチ箱の開け閉めする動作を、動物の口の開け閉めに見立て、そこにお金を入れる貯金箱などを作ったり。高校時代は、那覇の街並みを眺めながら過ごしました。芸術課程の授業で美術を選択していて、美大を受けようと誘われたが周りのレベルの高さについて行けないと思い、東京の大学に進みました。そこでは「情報科学研究」のゼミに入り、お互いの事を知らない人たちと意見を持ち寄ってまとめていく過程、それを街づくりや防災に結びつけていく方法など、コミュニケーションについて学びました。
社会人になりゲームオタクの知識を買われ、商品部で、各地域・各店舗で売れる商品の分析や仕入本数の指導などをしていました。オタクだからこそ、それぞれのゲームの楽しさを伝えられるという事で、本来は違う部署が担当する販促物制作も任されるようになりました。だから、面白くない商品は面白くないと正直に言っていたら、売りたい会社には嫌われて。今でもスタンスは同じ、間違っていないと思うけど。
その頃、ゲーム機にインターネット機能が付き始め、「これからはゲームソフトはダウンロード購入する時代だな」と、今後自分の仕事は要らなくなると思い、沖縄に帰る事にしました。
○木工作家になろうと思ったキッカケは何ですか?
前職を辞めて、ポリテクセンター沖縄の住宅リフォームCAD科に入ったのがキッカケです。CADをやりながらノミやカンナ、他にも左官みたいな事を勉強しました。その時、CADをやっているよりも、木を相手にした方が楽しいと感じました。本格的に沖縄で木工の勉強が出来る所はないかと相談したところ、沖縄県工芸指導所(現在:沖縄県工芸振興センター)を紹介してもらい、そこで本格的に木工の勉強をしました。
○工芸指導所を卒業後の進路はどうしましたか?
工芸指導所の伊波正和先生の下で、リュウキュウマツの圧密の実験の研究助手をしました。その後、個人で活動するようになりました。企業に就職するという選択肢もあったが、自分の頭の中で漠然とこういうモノ作りがしたいという気持ちがあったので、その気持ちを優先しました。
○廃材を扱うようになったキッカケは何ですか?
沖縄に帰ってきて色々な方と話す機会が多くなり、沖縄の人のお節介くらいの「おもてなしの心」が自分の中に響きました。初めて会った人にも道を教える時に手をひいて案内してくれるとかね。作品に対して「おもてなし」をしようと思った時、綺麗に仕上げるのはもちろんだけど、それは皆やっている事。今更僕がやっても皆の中に埋もれてしまうと思いました。そのうち、廃材と出会いました。最初に廃材で作ったモノがバッグで、リウボウでやった工芸指導所のOB展で販売しました。たまたま会場を間違えて入ってこられた芸能人の方が僕のバッグを気に入ってくれたので、僕が説明をしていると、その方が「うん、分かってる。そのいい加減な所にピンときた」「これ以上綺麗にすると廃材の意味が無くなってしまうよな」と。この時「あ、廃材って、見る人が見たら、良さをちゃんと分かってくれるんだな」と思いました。その方ご自身が美術や芸術をやられている方だから、自信となり、本格的に廃材を扱うようになりました。
○工房の名前b12の由来は何ですか?
イギリスのテクノ音楽のグループ名B12(ビートゥエルブ)です。b12をつける前は本名で活動していましが、ウッディフェアの申し込みの件で電話をしていた先輩に「工房名をつけて看板を背負うのと背負わないのとでは、意気込みが変わる」「今この電話で決めなさい」と言われました。その時にB12の10年ぶりくらいの新曲が流れていたので、「でしたら、僕は小文字のbにジュウニでb12でお願いします」って感じで決めました。
○B12はどんな音楽なんですか?
クラブでワーってノるような音楽じゃなくて、正座して聴く感じのテクノです。今でいうとEDM(エレクトロニックダンスミュージック)もしくはIDM(インテリジェントダンスミュージック)かな。僕はテクノをメインに聴くから、工芸家のイメージとちょっと違うねってよく言われるんですよ。工芸家は民謡とかクラシックの穏やかな方を聴いていて欲しいみたいです。民謡とかクラシックだと僕の作品を作るノリと違うんですよ。このチキチキした打ち込み音ってメカメカしいですよね。いわゆる家具に求められているBGMと違いますよね?これを聴きながらブランデーを飲む気にはならないですよ。でも僕が作っているモノはこういう世界感なんで、この音楽が流れている部屋にこれ(刃の時計)が掛かっていても違和感無いですよね。その辺でキャラが確立していたかなと思います。何となく僕の世界感とかモノの考え方が見えますか、この音楽で。
後編では、作品がどのようにして作られるのかなどをお届けします。
b12 島袋勝ツ也
所在地:沖縄県浦添市牧港2-49-13
HP:40-296.com
tumblr:40-296.tumblr.com
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