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木目を組み合わせ、無限のデザインを描く 木工房 秀暖 – SHUUDAN –

木口を組み合わせた印象的なデザイン、と言えば県内の木工ファンなら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
今回取り上げるのは「木工房 秀暖 – SHUUDAN -」の作家であるダン・プレグマンさんです。

ダンさんが作る製品はなんといっても寄せ木のデザイン。木が持つ色味や風合いを組み合わせ幾何学的に並べることで、自然が作った偶然の模様に規則性が加わり、新たなデザインへと生まれ変わります。この寄せ木を使った製品は県内外でファンを獲得しています。

なぜ「木口の寄せ木」という手法を選んだのか?そもそも沖縄にきて木工作家になった理由は?今回はダンさんに色々お話を伺ってきたので、ご紹介します。

アメリカから沖縄へ。さまざまな仕事を経たのち、2019年に木工作家へ。

ー ダンさんのご出身から伺って良いですか?

ダンさん(以下、ダンと表記):私はアメリカ・オレゴン州の出身です。森に囲まれた田舎町で生まれ育ちました。沖縄には米軍基地に所属した1990年、18歳の時に来て、それから約33年間、沖縄に住んでいます。

ー 18歳から!かなり長く住んでいるから語学も習得されたているんですね。

ダン:軍に入っていたのは大体2年くらいかな。そこからは基地の外に出て内装仕上げの仕事をしたり、英語の先生をしていました。2019年までは中古車パーツの輸出を主な仕事にしていたので、全く木工とは無縁の生活でしたよ。

ー では、木工作家の道に進んだのはいつ頃なんですか?

ダン:2019年、ちょうどコロナが流行り出して、輸出業が少し低調になってしまった。なんとなく家で過ごしている時にカッティングボード(まな板)が欲しいけど、自分で作ってみようかなと思ったんです。そこからYoutubeなどをみて初めて琉球松を購入して、木口の寄せ木のカッティングボードを作ってみたんです。

▲初期に製作したカッティングボード。

ー 最初から寄せ木のスタイルだったんですね?!そして、ダンさんといえば代表的な製品がカッティングボードは原点だったんですね。

ダン:でも最初作ったものは失敗したんですよ。木口の処理が綺麗にできていないことが原因だとわかって。でも作ったものを妻と妻の姉妹が気に入ってくれたので、本格的に作っていきたいなと思いました。ホームセンターに作品を持っていって、県産材を使いたいって話をして、屋宜さん(木工作家)を紹介してもらいました。屋宜さんも「いいねー!」と褒めてくれて。家族も応援してくれることになって、徐々に木工作家の道に足を踏み入れました。

県産木材を使うということ、そして木口を使用するという手法を選んだ理由。

ー 最初から県産材を使うことにこだわりを持っていたんですね。

ダン:そう。他の木には興味なかった。だって沖縄にいるんだから、土地のものを使う方がそこに住んでいる人にお金が回るでしょ?それに、沖縄の木の模様はとても面白いと思ったんです。特に琉球松は模様がはっきりしていて好きですね。あとはウラジロガシも赤と白の色味があって、よく使います。

ー 木口という手法を選んだのはなぜですか?

ダン:木口の寄せ木を使うと、いろんなデザインのアイデアが浮かぶんですよ。昔、軍に所属していた頃、適正テストみたいなものを受けて、その時「語学とパズルが得意」と言われたんです。それが関係しているのかはわからないけど、木口をカットして使う手法は4年間変わらない僕のスタイルです。小さな木片も捨てずに使えるのも自分に合っていると思います。

*木口とは・・・?
木材の繊維方向に対して直角の、年輪が現れる断面のこと。ダンさんのカッティングボードは木口面が表になるように製作されています。

実は理にかなっている!木口を使ったカッティングボード

ー ダンさんのカッティングボードは、デザインがカッコよくて素敵なんですけど、包丁で傷をつけたくない!という方も多そうですよね。

ダン:確かに、よく言われますね(笑)。飾るものとして使いたいという意見があったり。でも、これは後から調べてわかったことなんだけど、木口面を表にしたカッティングボードは、木めがカットめんと垂直になるので、傷が修復されやすく、包丁で傷がつきにくいんです。また、刃先の抵抗が少ないので、切れ味を維持しやすい。反りや湾曲も最小限に抑えるので、メンテナンスをすれば50年は使えるんですよ。

ー そんなメリットがあるんですね!メンテナンスはどんなことをするんですか?

ダン:注意点としては、電子レンジや食器洗浄機・乾燥機は使用NGということ。また、濡れたままにしないで、乾いたタオルで拭き取って、前面に空気が通るように立てて乾かすことです。あとは、僕が調合したミネラルオイルワックスを月に1度塗ることで、艶が戻り、傷も目立たなくなります。

▲ご自宅で使っているカッティングボードをメンテナンスするダンさん。

木口のブロックを作るさまざまな工程

ー 木口は小さい木片から作っているんですか?

ダン:まさか!全部一枚板から切り出しているんですよ。

ー そうなんですね!無知ですみません!あんな細かい木口のブロックを大きな一枚板からとっているんですね。知らなかった・・・

ダン:そう、結構大変なんですよ(笑)。作業場を案内するので是非みてみてください。

ダン:こんな感じで、大きな一枚板を購入して、カットして、木口面を見ながらデザインを考えています。木の節や虫食いの穴、シミのようなものが入るのを避ける方もいますが、僕はそういったみんなが嫌がるものは、面白いと思う性格で。こういった大きな穴も、黒くなったシミも、自然が生んだ優れたデザインだと感じるんです。
 

新しいデザインを研究、そして来年はもっと県外に販路を広げていきたい

ー 今年の沖縄ウッディフェアで披露していたボウルは、とても繊細な作りをしていましたね。

ダン:そう。あれはカッティングを細かく入れて、しなやかに動きのある木のボウルになりました。今年夏頃にアイデアが浮かんで、試してみて、11月にみんなに見てもらうことができて良かったです。

ー とても斬新なデザインで目を引きましたよね。

ダン:おかげさまで、好評でしたね。今年はようやくみんなに日常が戻ってきて、イベントにも参加することができました。来年は沖縄だけでなく、県外のイベント出展やバイヤーとの打ち合わせも入っています。なので、来年の目標は沖縄県外に販路を広げることですね。沖縄の木の良さを、そして私の製品をもっと多くの人に見てもらい、生活の中に取り入れてもらえるよう、努力していきたいと思っています。

ー 今後もダンさんの作品を追っていきたいと思います!今回は貴重なお話をありがとうございました!

■木工房 秀暖 – SHUUDAN –
代表者: ダン・プレグマン
〒904-2173 沖縄県沖縄市比屋根7丁目30−27
TEL : 090-3797-7112
Instagram @shuudanwoodworking


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