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てるる詩の木工房 のご紹介

優しい時間…

とでも表現したらいいのでしょうか。工房の一室に響く竪琴の澄んだ音。琴線に触れるとはよくったもので、とても美しい音色でした。

今回はうるま市川田にあります「てるる詩の木(うたのき)工房」に行って参りました。「てるる詩の木工房」の高良さんは沖縄の県産材を使って竪琴を作っています。主にクワ、イジュ、ユシギなどを使って、作ることが多いそうで、県内の樹種でも特に楽器に向いているのだそうです。

高良さんの作る竪琴で特徴的なのは前面にゆるやかな膨らみがあること。この膨らみが弦の音色を柔らかくのびやかなものにします。「アーチトップ」という技法ですが、平坦な「フラットトップ」と比べると綺麗な音が出せる反面、3倍近くの材料と、削り出しの労力がかかるのだそうです。

左:アーチトップを採用したモデル   右:基本的なフラットトップ

これはギターの製作でも同じような工程があり、この膨らみの有る無しでも値段が倍くらい違ってくるのだそう。この「アーチトップ」を採用した竪琴は世界でも珍しく、おそらく他に無いと仰っていました。そのうえ、高良さんは「低音部分の弦」もご自身で制作しており、こまかな微調整は市販の弦では出せないからと、細部までこだわって制作しています。県産材、アーチトップ、自作の弦、まさにこれこそ「世界に唯一の竪琴」と言えますね。世界広しといえども、『てるる詩の木工房』でしか入手できません。

高良さんが県産材を使い楽器を作り始めた頃、まだ県産木材の可能性は今ほど見込まれていませんでした。しかし高良さんはいち早くその可能性を見抜き、竪琴を作ります。
予想通り、楽器の素材としては適していましたが、現在のかたちになるまではやはり、数々の試行錯誤があったと仰っていました。

お話を伺った中で印象に残ったのは「木と対話する」というお話。職人さんの逸話ではよく聞くような言葉ですが、目の当たりにすると圧倒される言葉でした。「木の生えている場所、生え方曲がり、伸び、どの方向の力に強いのか、部位によっても差がある。魚の部位で味が変わったりするでしょ?木にも同じように楽器に向いている部位がある。それをちゃんとみつけてあげないといけないんだよ」長年その道に携わってきたものにしか分からない重みを感じました。

また木材を楽器として加工するには、木を切り出した後も、乾燥させるのに数年~十数年の時間を要するのだそうです。そしてそれを楽器として仕上げるのに1ヶ月、長いものだと半年近くかけることもあるのだと言います。我が子のように手間と時間をかけて生み出した作品が、育ての親(演奏者)の手に渡り、その演奏者の育て方(弾き方や手入れの頻度など)でまたその人特有の音になっていくのだと言います。「樹種を変えても音は微妙に変わるけれど、持ち主のケアの仕方でそれ以上に変わるんですよ」とお話されていました。

ご訪問中何度も竪琴を手に取り、その音色を聞かせていただいてすっかりいい気分。「月夜の森の中で聞いてみたいですねー」と言ったら「それはよさそうだ」と笑ってらっしゃいました。澄んで響く竪琴の音が、とても幻想的なひとときでした。時々演奏会なども催していらっしゃるようなので、ブログの方もチェックしてみてくださいね。

優しくつま弾く様は、子供を抱いているようにも見えますよね。

 


事業者名
品目
素材
径(cm) 幅(cm)
厚み(cm) 長さ(cm)
乾燥(含水率) 量(m3/枚/本)

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