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トピックス 伝統的 日本のあれそれ

かねせん工房さんのご紹介をした際に「挽き物」について少しお話をさせていただきましたが、今日は「さしもの」のお話を少し。といいましても素人に毛が生えた程度の、お勉強したものをまとめただけの知識ですので、多少の間違いはご愛敬…(ご指摘ください)

日本には伝統的な技法として釘などの接合道具を使わず木材を接合する技術があります。一般的には柱と横架材を合わせる仕口(しぐち)、横架材どうしを継ぎ合わせる継手(つぎて)という技術ですが、簡単に言うとジグソーパズルに似ています。ふたつの木材の凹凸ががっちり組み合って釘などを打たなくても外れないようになるものです。

さて、普通に考えますと「別に釘でいいじゃない?」と思う方もいると思いますが、ここ大事なんです。釘は金属なので錆びてしまう可能性がありますし、抜けてしまう可能性だってありますよね。接合面も局地的です。ところがこの仕口や継ぎ手の技術だと木の凹凸面がぴったり面でくっついているため強度は段違いになります。その分要求される技術の高さはこれまた段違いになってしまうのですが、それもまた職人の真骨頂といえます。

と、ここまでは建築の分野における説明です。

このような技術を用いて釘等の接合道具を使わずにつくられた、家具や調度品は特に「指物」と呼ばれます。技術そのものを指すこともあります。「ホゾや継ぎ手をさしこむことから指物と言う」とも、「ものさしを使うことから」とも言われています。
ここでまた新しい言葉がでてきました「ホゾ」とはなんでしょうか。
実はこれ、このページでご紹介している作家さんの作品でも見ることができます。つなぎ合わせる木材の一方にホゾ穴(凹面)もう一方にホゾ(凸面)を作り、さしこむ技法です。


ウッディフェアに出展の島変木さんのテーブル

おわかりいただけるだろうか…(霊的なものは写っていません)

テーブル(イス)の天板に脚を取り付ける際に凹凸を作って差し込んでいますね。この部分が「ホゾ」になるんだそうです。ここではホゾを2つ作って差し込んでありますね。それにしても仕上がりの滑らかさは流石です。しかしこのホゾ、細すぎると外れてしまいますし、太すぎると入らないんじゃないか…?と思いませんか?

それを回避する方法が「木殺し」という技術です。言葉だけ見ると怖い感じがしますが、少し大きめに整形したホゾをホゾ穴に差し込む為に、玄翁(ハンマー)でバッチンバッチンたたくのです。それによって少しつぶれたホゾを差し込むと、木の復元力で時間の経過と共に、水分を含んで次第に膨張します。するとアーラ、びっくり!ガッシリはまって抜けなくなるんですね。
しかし、もちろん復元力には限界がありますし、樹種によっても違いますからそこは経験が伴ってくるわけです。

このように職人さんの高い技術力と木の特性をうまく活かすことで、日本の伝統的な技術が受け継がれてきたわけですね。用途や樹種、デザインなどによってこの技術が適さない場合もあるかもしれませんが、脈々と受け継がれてきた伝統を大事にしていきたいですね。


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